木津本 麗「あたたかさのコミュニケーション」

2024年2月17日(土)-3月8日(金)

N project

N projectでは2024年2月17日-3月8日まで木津本麗の個展「あたたかさのコミュニケーション」を開催いたします。

木津本麗(b.1998)は滋賀県に生まれ、2023年京都芸術大学修士課程芸術研究科美術工芸領域油画専攻を卒業。現在は大阪を拠点に、作家の幼少期の記憶と強く結びついたフェルト素材をランダムな形状に切り取り、恣意的に放り投げて現れた配置をキャンバス上に描き出した絵画作品を制作しています。

木津本にとってフェルトという素材は、ままごとの玩具やシンプルな色形の積み木と同義であり、それらを並べたり重ねたりすることで、単純なかたちが別の意味合いを伴って世界を形作る様を作品として描いています。例えるならば、一枚のハンカチがある時は人形のお布団、またある時は花束にと、瞬く間に入れ替わる無数の「見立て」によって成り立つ幼児期のあそびのような感覚といえるでしょう。制作に使われる形や色彩の異なるフェルトは、作家の手元で使いまわされ、また徐々に蓄積されながら、異なる作品中に別の角度から顔を出します。作品ごとに異なる役割を振られたフェルトは、物理的なものから抽象的な概念まで「何にでもなれるもの」として、木津本の作品を彩ります。

木津本麗, 浮かぶ形, 2023 / photo by Katsumi Kawashima
木津本 麗  あたたかさのコミュニケーション 展示風景 / photo by Katsumi Kawashima

西洋近代の思想の潮流に基づく概念によると、世界は主体/客体とに二分され、わたしたちは対象である世界から疎外させられている存在と捉えられます。木津本が制作の前段階として行う、切り取ったフェルトを選び放り投げるという一連の儀式では、この概念が線引きする主体と客体との区別がぼやけています。作家は絵画の構想という主体に属する行為をフェルトという客体と対話することで行い、明瞭な像を結ばない曖昧なままの情感として描画された作品を提示します。これは世界を理解するための新しい視点であると同時に、具象と抽象という既存の枠組みを超えた、新たな絵画の可能性といえるでしょう。

今回の展示では制作の過程でフェルトを通じて作家が世界を捉えようとする一連の儀式から、本展を「あたたかさのコミュニケーション」と題し、第3回anonymous collection competition 特別賞受賞作品展として 2024年1月に東京青山のanonymous bldg. で展示された500号<浮かぶ形>(2023)ほか、最新作を展示します。

この機会にぜひご高覧ください。

開催概要
木津本 麗「あたたかさのコミュニケーション」

アーティスト

会期

2024年 2月17日(土)-3月8日(金) 平日10:00-17:00  土曜 11:00-18:00 ※日祝休廊 3月5日(火)は臨時休廊となります。 作家在廊予定 2024年2月17日(土)11:00-18:00

会場